○大月市消防本部火災調査規定
令和2年3月10日
大消訓令第3号
大月市消防本部火災調査規程(平成13年大月市消防本部訓令第1号)の全部を改正する。
(趣旨)
第1条 この規程は、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)に基づく火災の調査について必要な事項を定めるものとする。
(調査の目的)
第2条 火災調査は、火災の原因及び火災により受けた損害を明らかにして火災予防対策及び警防対策に必要な基礎資料を得ることを目的とする。
(1) 調査 火災現場から火災予防を主とする消防行政施策の資料を収集し、及び活用するための現場見分、鑑識、鑑定、実験、質問、照会等の一連の行動をいう。
(2) 調査員 調査に従事する全ての消防職員をいう。
(3) 調査責任者 火災調査現場において、調査員を指揮し、調査の進行等を行う職員で第8条の規定に基づき消防署長に指定された者をいう。
(4) 調査指導担当者 火災調査の補助、調査員への指導助言を行う職員で第9条の規定に基づき消防長に指定された者をいう。
(5) 関係者等 法第2条第4項に定める関係者並びに火災の発見者、通報者、初期消火者及びその他調査の参考となる情報を提供しうる者をいう。
(6) 鑑定 火災に係る物件の形状、構造、材質、成分、性質及びこれに関連する現象について、科学技術的手法により必要な試験及び実験を行い、その結果をもとに火災原因の判定のための資料を得ることをいう。
(7) 鑑識 火災の原因及び損害の判定のため、専門的な知識、技術、経験及び機器を活用し、総合的な見地から具体的な事実関係を明らかにすることをいう。
(火災の種別)
第4条 火災の種別は、次のとおりとする。
(1) 建物火災とは、建物又はその収容物が焼損した火災をいう。
(2) 林野火災とは、森林、原野、牧野が焼損した火災をいう。
(3) 車両火災とは、自動車車両、鉄道車両及び被けん引車又はこれらの積載物が焼損した火災をいう。
(4) 船舶火災とは、船舶又はその積載物が焼損した火災をいう。
(5) 航空機火災とは、航空機又はその積載物が焼損した火災をいう。
(6) その他火災とは、前各号に掲げる火災以外の火災(空地、田畑、道路、河川敷、ごみ集積場、屋外物品集積場、軌道敷、電柱類等の火災)をいう。
2 火災の種別が2以上複合するときは、焼損損害額の大なるものの種別による。ただし、その態様により焼損損害額の大なるものの種別によることが社会通念上適当でないと認められるときは、この限りでない。
3 前項の損害額が同額であるとき、又は算出できないときは、火元の火災種別による。
(調査の区分)
第5条 調査は、火災原因調査及び火災損害調査に区分し、その範囲は次に掲げるとおりとする。
(1) 火災原因調査
ア 出火原因 出火箇所、発火源、経過、着火物
イ 発見、通報及び初期消火状況 発見の動機、通報及び初期消火の一連の行動経過
ウ 延焼状況 建物火災の延焼経路、延焼拡大要因等
エ 避難状況 避難経路、避難上の支障要因等
オ 消防用設備等の状況 消火設備、警報設備及び避難設備の使用又は作動等の状況
(2) 火災損害調査
ア 人的被害 火災、消火活動、避難等による死傷者、り災世帯、り災人員等の人的な被害の状況及びその発生状況
イ 物的損害 火災による直接の損害、消火活動による損害、爆発による損害の状況
ウ 損害額の評価等 火災により受けた物的な損害の評価及び火災保険等の加入状況
(調査の実施)
第6条 消防長及び消防署長(以下「消防長等」という。)は、管轄区域内で発生した火災の調査に責任を有し、火災を覚知したときは、直ちに前条に規定する調査に着手しなければならない。
2 消防長等は、調査員を指定し、調査に従事させるものとする。
3 消防長等は、必要があるときは、前項の調査員以外の職員を調査に従事させることができる。
(調査体制の確立)
第7条 消防長等は、調査に必要な人員及び調査用器材を整備し、調査体制を確立しておかなければならない。
2 消防長は、火災の規模、形態により調査を機動的かつ効果的に実施するため、特に必要があると認められるときは、調査本部を設置することができる。
3 前項に規定する調査本部の指揮は、消防課長が執るものとする。
(調査責任者の指定及び任務)
第8条 消防署長は、火災調査現場及び火災調査報告の完了までの管理等を行う職員として消防司令補以上の者を、調査責任者として指定するものとする。
2 調査責任者の任務は、次のとおりとする。
(1) 火災調査現場での指揮及び安全管理
(2) 火災調査現場での任務の分担、調査の進行及び他機関との調整
(3) 火災調査報告書の作成に関する管理
(調査指導担当者の指定及び任務)
第9条 消防長は、調査の執行について補佐する職員として、消防士長以上で火災調査の教育を受けた者又は火災調査に精通すると認められる者を、調査指導担当者として指定するものとする。
2 調査指導担当者の任務は、次のとおりとする。
(1) 現場調査の進行補助
(2) 火災調査報告書の確認
(3) 調査員への指導及び助言
(4) 前条に規定する調査責任者の任務の一部代行
(5) その他調査業務の実施に関し必要な事項
(調査員の遵守事項)
第10条 調査員は、火災現象、関係法令等調査に必要な知識の習得及び調査技術の向上に努めるとともに、次の事項を遵守しなければならない。
(1) 調査員は、調査員相互の連携を図り、調査業務を円滑になるように努めること。
(2) 調査員は、調査に際し、関係者の民事的紛争に関与しないこととし、個人の自由・権利を不当に侵害したり、調査上知り得た秘密をみだりに他に漏らしたりしてはならない。
(3) 調査員は、関係のある場所へ立ち入るときは、原則として関係者の立会いを得ることとし、立入検査証を携帯し、関係のある者の請求があるときは、これを提示しなければならない。
(4) 警察機関、その他の関係機関と密接な連絡をとり、相互に協力して調査を進めること。
(5) 調査は、事実の確認を主眼とし、先入観にとらわれることなく科学的な方法と合理的な判断の上で事実の立証に努めなければならない。
(火災出場時の見分)
第11条 火災に出場した消防職員は、消防活動を通じて火災状況の見分に努めなければならない。
2 調査員は、出場途上及び現場において関係者等への質問及び現場の状況から発見、通報、初期消火、火気管理、避難、死傷者、消防対象物のり災状況及び消防用設備等の使用、作動状況等を把握し、事後の調査に活用できるよう配意しなければならない。
(現場の保存)
第12条 消防長等は、消火活動が終了したときは所要の措置を講じた上で現場を保存しなければならない。このとき、保存区域の設定に当たっては、焼損状況、関係者等の供述等を検討し、所轄警察署と協議の上で行うものとする。ただし、調査上その必要がないと認めたときは、この限りでない。
2 消防隊員は、消防活動に際して物品を移動し、又は破壊する場合は最小限度にとどめなければならない。この場合において、やむを得ず物品を移動し、又は破壊するときは、必要に応じ計測、写真撮影等を行い、変更前の状態を記録するよう努めるものとする。
(死者の取扱い)
第13条 消防長等は、火災現場において死者を発見したときは、所轄警察署長に通報するとともに、必要な措置を講じなければならない。
(実況見分)
第14条 調査員は、火災現場又は火災と関係のある場所に立ち入り、火災原因の判定に必要な資料の収集に努めなければならない。この場合は、原則として関係者の立会いのもとに行うものとする。ただし、特別な事情により関係者の不在等やむを得ないときは、警察官又は関係者の近親者その他適当な者を現場立会人とすることができる。
2 調査員は、火災現場の見分状況を明確にするため、写真、図面、記述等により現場状況を記録するよう努めなければならない。
3 調査員は、実況見分、関係者等に対する質問等による事実に基づき、現場の復元を行うよう努めなければならない。
(照会)
第15条 消防長等は、調査について必要があるときは、火災調査関係事項照会書(様式第1号)により関係者に対し必要な事項の通報又は照会を求めることができる。
(資料提出命令及び報告の徴収)
第16条 消防長等は、調査のために必要と認めるときは、関係者に対し、任意に資料の提出及び報告を求めることができる。
3 資料の提出については、資料保管書(様式第4号)正副の2通を作成するとともに、提出者に返却の意思を確認し正本を交付しなければならない。
2 資料提出者から、資料の返還を求められたときは、資料保管書と引換えに返還しなければならない。
(鑑定)
第18条 消防長等は、保管した資料について鑑定を必要と認めるときは、鑑定(試験)依頼書(様式第7号)により公的機関等に依頼することができる。
(鑑識及び実験)
第19条 消防長等は、調査現場において焼損物件の詳細な見分が困難なとき又は実験等を必要とするときは、立証のための調査(鑑識等)を行うものとする。
(原因の判定)
第20条 火災原因の判定は、火災の実況見分、質問その他の関係資料等を総合的に検討して判定するものとし、物的調査、人的調査による資料により裏付けるものとする。
(1) 不動産り災申告書(様式第8号)
(2) 動産り災申告書(様式第9号)
(3) 車両・船舶・航空機り災申告書(様式第10号)
2 損害額の算出基準は、火災報告要領に基づき算出しなければならない。
(1) 火災調査書(様式第11号)
(2) 火災原因判定書(様式第12号)
(3) 火災出場時における見分調書(様式第13号)
(4) 実況見分調書(様式第14号)
(5) 火災現場写真(様式第15号)
(6) 質問調書(様式第16号)
(7) 鑑定結果書(任意の様式とする)
(8) 鑑識見分調書(様式第17号)
(9) 実験結果報告書(様式第18号)
(10) 防火管理等調査書(様式第19号)
(11) 火災損害調査書(様式第20号)
(12) 火災死傷者調査書(様式第21号)
(13) その他火災原因の判定、損害額の認定の根拠となった資料等
(質問)
第23条 調査員は、関係者等に質問し、原因の判定の資料となる事実の把握に努めなければならない。
2 前項により知り得た事実のうち、原因の判定に必要と認められる内容については、質問調書にその内容を記録しなければならない。この場合、記録した内容を当該関係者に読み聞かせるなどし、記載事実に誤りがないことを確認し、質問調書に署名を求めるものとする。ただし、被質問者が署名できない状況である場合又は拒んだ場合、調査員は、その旨を記載しておかなければならない。
3 調査員は、少年(18歳未満の者をいう。)に対して質問する場合は、少年の保護者等の立会いのもと行い、内容確認後の質問調書への署名は立会人のものとする。
4 早期発見者、消火協力者その他これらに類する者で、出火に直接関係のないもの及び第24条第1項第1号又は第2号に該当する火災についての供述は、質問調書(関係者の供述)として、被質問者の署名を省略することができる。
(1) 建物、車両、船舶、航空機、林野火災及びその他火災において、死傷者(放火による自損行為は除く。)及び第三者への損害が発生せず、鑑定、鑑識及び実験が必要ない火災
ア 火災調査書
ウ 火災現場写真
エ その他(消防長等又は調査責任者が必要と認める書類)
(2) 前号に該当する火災のうち出火原因の明らかなその他火災
ア 火災調査書
イ 火災現場写真
ウ その他(消防長等又は調査責任者が必要と認める書類)
(3) 前2号に該当しない火災
ア 火災調査書
イ 火災原因判定書
ウ 実況見分調書
エ 火災現場写真
オ 火災出場時の見分調書
カ 質問調書
キ その他(消防長等又は調査責任者が必要と認める書類)
2 書類の作成者にあっては、以下のとおりとする。
(1) 火災調査書 火災調査を報告する職員
(2) 火災原因判定書 調査現場に臨んだ消防士長以上の階級の職員
(3) 実況見分調書 前号の職員以外で、調査現場に臨んだ職員
(4) 鑑識見分調書又は実験結果報告書 鑑識又は実験に臨んだ職員
(5) 火災出場時の見分調書 指揮隊又はポンプ第1隊の隊長とする。ただし、必要と認める場合には、現場に出場した隊員に書類の提出を求めることができる。
(6) 質問調書、図面、火災損害調査書 質問聴取、計測等の調査に従事した職員
(7) その他必要な書類 調査責任者が指定した職員
(即報)
第25条 消防署長は、火災の状況についてその概要を消防長に即報しなければならない。
(報告)
第26条 調査責任者は、調査が完了したときは第23条に規定する調査記録を統合し、調査結果を消防長等に報告(以下「調査完了報告」という。)しなければならない。
2 調査責任者は、調査完了報告が、別に定める期日を超え遅延する場合は、消防長等に報告しなければならない。
(り災証明)
第27条 り災に関係ある者からり災証明交付申請書(様式第22号)により、り災証明書(様式第23号)の交付申請があったときは、当該火災の焼損状況等の事実に基づき、り災証明書を交付するものとする。このとき、手数料は大月市手数料条例(平成12年大月市条例第10号)に基づき徴収するものとする。
(照会の対応)
第28条 消防長は、管轄区域内で発生した火災において、火災原因その他の調査事項について、捜査機関、その他関係機関及び関係者から照会があったときは、その内容、目的、その他必要な理由について審査し、必要事項について回答することができる。その際、大月市情報公開条例(平成13年大月市条例第4号)、大月市個人情報保護条例(平成15年大月市条例第1号)、その他関係法令に基づき対応するものとする。
(証人、参考人としての出廷等)
第29条 職員は、自己の担当した調査に関して捜査機関から参考人として出頭を要請され、又は裁判所から証人等として呼出し若しくは召喚を受けたときは、消防長にその事案の概要を報告しなければならない。出頭した結果についても、また同じとする。
(書類の保存)
第30条 火災調査報告書は、大月市消防本部文書取扱規程(平成4年大月市消防本部訓令第1号)に基づき、保存するものとする。
(委任)
第31条 この規程の運用に関し必要な事項は、消防長が別に定める。
附 則
(施行期日)
1 この訓令は、令和2年4月1日から施行する。
(経過措置)
2 この訓令による改正後の大月市消防本部火災調査規程の規定は、この規程の施行日以降によりなされた手続きその他の行為について適用し、同日前に行われた手続きその他の行為については、なお従前の例による。