○大月市男女共同参画社会推進条例

平成17年3月28日

条例第2号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第11条)

第2章 基本的施策等(第12条―第19条)

第3章 男女共同参画推進委員会(第20条)

第4章 雑則(第21条)

附則

私たちの目指す社会は、すべての人が性別にかかわりなく、個性ある一人の個人として尊重され、一人ひとりの尊厳が確保される社会でなければならない。

我が国における男女平等の実現に向けた様々な取組は、個人の尊重と法の下の平等がうたわれている日本国憲法の下、女性に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約の批准など国際社会における取組と連動しつつ着実に進められている。

大月市においても、これまで、女性の自立と地位向上を図り、さらには、男女共同参画社会の実現を目指して、市民と行政が一体となって様々な施策を進めてきたところである。

しかしながら、性別による固定的な役割分坦意識やそれに基づく社会慣行などが今もなお根強く存在しており、なお一層の努力が必要である。

また、人口の減少、少子高齢化、家族形態や地域社会の変化など、現代の社会経済状況への対応も求められている。

こうした現状を踏まえ、豊かで安心でき、活力ある地域社会づくりを進めるためには、性別にかかわらず、政策の立案、決定等において男女が共にあらゆる活動に参画し、実質的な男女平等を実現することが重要である。

大月市は、緑豊かな自然環境を守り、次代を担う子どもたちを産み育てやすい環境をつくることに努めるとともに、社会的、文化的に形成された性別の概念にとらわれず、男女がお互いの人権を尊重しつつその個性と能力を発揮し、男女が対等な立場で参画し責任も分かち合う男女共同参画社会の実現を目指していく。

このような認識のもとに、男女共同参画の推進に関する基本理念等を定め、その取組を市、市民、事業者等が一体となって総合的かつ計画的に推進するため、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、大月市(以下「市」という。)における男女共同参画の推進に関する基本理念を定め、市、市民、事業者、自治組織、教育関係者の責務を明らかにするとともに、必要な施策の基本となる事項を定めることにより、男女共同参画に関する活動及び施策を総合的かつ計画的に推進し、豊かで活力ある男女共同参画社会を実現することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 男女共同参画社会 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべき社会をいう。

(2) 市民 市内に住所を有する者、勤務する者及び在学する者をいう。

(3) 事業者 公的機関であるか民間機関であるかを問わず、また、その事業活動が営利を目的とするか否かを問わず、市内において事業活動を展開するものをいう。

(4) 自治組織 自治会その他市内の一定の区域に住所を有する者で形成された団体をいう。

(5) セクシュアル・ハラスメント あらゆる場において、性的な言動により他の者を不快にさせ、又は相手方の生活環境を害する言動をいう。

(6) ドメスティック・バイオレンス 配偶者、その他親密な関係の男女間における身体的又は精神的な苦痛を与える暴力、その他心身に有害な影響を及ぼす言動をいう。

(7) 積極的改善措置 社会のあらゆる分野での活動に参画する機会の男女間の格差を改善するため、必要な範囲において、男女のいずれか一方に対し、その機会を積極的に提供することをいう。

(基本理念)

第3条 市、市民、事業者等は、次に掲げる事項を基本理念として、男女共同参画の推進に努めなければならない。

(1) 男女の互いの特性を認め合い、個人としての尊厳を重んじ、性別による差別的取扱いをすることなく、能力を発揮する機会を均等に確保し、男女の人権を尊重すること。

(2) 性別による固定的な役割分担等を反映した社会制度又は慣行が、男女の社会における活動の自由な選択に対して影響を及ぼすことのないよう配慮すること。

(3) 男女が、社会の対等な構成員として、市における政策又は民間の団体における方針、計画の立案及び決定に参画する機会を確保すること。

(4) 男女が、家族的責任及び社会的責任を共に担い、家庭、学校、職場、地域その他のあらゆる場における活動に、平等、対等な立場で参画し、責任を分かち合うこと。

(5) 国際社会における男女共同参画推進の取組に対し、協調し連携すること。

(目指すべき姿)

第4条 市、市民、事業者等は、男女共同参画の推進にあたり、次に掲げる事項を目指すべき姿とし、この実現に努めるものとする。

(1) 家庭において目指すべき姿

 家族がそれぞれの個性を認め合い、互いに思いやりをもった発言や行動がとれる家庭であること。

 家族それぞれが多様な生き方を選択でき、その能力、適性を認め合う、明るく豊かな家庭であること。

 家族一人ひとりが固定的な性別役割分担意識にとらわれず、家事、育児、介護等の営みを男女が共に担う家庭であること。

(2) 学校において目指すべき姿

 性別役割分担意識にとらわれず、それぞれの個性や人権を大切にする子どもを育てる学校であること。

 男女に対して等しく、育児、介護、ボランティア等の体験を取り入れた学習が進められる学校であること。

 進学や就職等において、性別にとらわれない、個人の能力や適性を考慮した選択が尊重される学校であること。

(3) 職場において目指すべき姿

 個人の意欲、能力、個性等が合理的かつ適切に評価され、募集、採用、配置、賃金、昇進等について性別を理由とする差別的取扱いのない職場であること。

 家庭生活や地域活動が活力とゆとりのある充実したものとなるよう、長時間労働の短縮など環境の改善が図られる職場であること。

 男女が等しく育児休業や介護休業を取得できるなど、仕事と家庭の両立ができる職場であること。

 妊娠・出産期等、女性の生涯の各段階に応じた適切な健康管理が行われる職場であること。

 セクシュアル・ハラスメントのない安心して働ける職場であること。

(4) 地域において目指すべき姿

 すべての人の人権が尊重され、差別のない、地域であること。

 男女が対等な立場で地域の諸活動に参画し、企画や実践に関わる地域であること。

 性別による固定的な役割分担意識に基づく古い慣習等の制約を克服し、男女の相互理解によって、それぞれの行動や考え方が尊重され、意思決定される地域であること。

 男女が対等な立場で積極的に社会参画をすることにより、多様なリーダーシップが発揮される地域であること。

 老若男女を問わず、市民等しく男女共同参画社会について学習する機会が積極的に提供される地域であること。

(市の責務)

第5条 市は、第3条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)に基づき、男女共同参画社会の実現に向けた施策を総合的に策定し、実施しなければならない。

2 市は、男女共同参画の推進に関する施策(積極的改善措置を含む。以下同じ。)を実施するため、必要な体制を整備するとともに、そのための財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

3 市は、前項の施策を推進するにあたっては、市民、事業者、自治組織、国、県及び他市町村と相互に連携と協力を図るように努めるものとする。

(市民の責務)

第6条 市民は、家庭、職場、学校、地域その他の社会のあらゆる分野において、男女共同参画社会について理解を深め、その推進に努めなければならない。

2 市民は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に積極的に協力するよう努めなければならない。

(事業者の責務)

第7条 事業者は、その事業活動に関し、基本理念にのっとり、男女共同参画の推進に自ら努めるとともに、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。

2 事業者は、男女共同参画の推進のため、その事業活動に関し、積極的改善措置を講ずるよう努めなければならない。

3 事業者は、男女が仕事と家庭生活、地域等の活動と両立ができるよう、職場環境の整備に努めなければならない。

(自治組織における責務)

第8条 自治組織は、地域社会における自治の主たる担い手として重要な役割を果たす存在であることにかんがみ、地域活動を行うにあたっては、基本理念にのっとり、男女共同参画の推進のための取組を積極的に行うものとする。

2 自治組織は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に積極的に協力するよう努めるものとする。

(教育関係者の責務)

第9条 学校教育その他のあらゆる教育に携わる者は、男女共同参画の推進に果たす教育の重要性にかんがみ、個々の教育本来の目的を実現する過程において、男女共同参画社会の基本理念に配慮しなければならない。

2 家庭及び地域においても、次代を担う子どもの教育に関し、男女が共に積極的に参画するよう努めなければならない。

(性別による権利侵害の禁止)

第10条 何人も、家庭、職場、学校、地域その他の社会のあらゆる場において、性別による差別的取扱い、セクシュアル・ハラスメント、ドメスティック・バイオレンス、その他の人権を侵害する行為を行ってはならない。

(情報に関する留意)

第11条 何人も、公衆に対して表示する情報において、性別による差別的取扱い、固定的役割分担又は異性に対する暴力的行為を助長し、又は連想させ、人権を侵害する表現を行わないように努めなければならない。

第2章 基本的施策等

(基本計画)

第12条 市は、男女共同参画の推進に関する施策並びに市民及び事業者等の取組を、総合的かつ計画的に推進するための基本計画(以下「計画」という。)を策定するものとする。

2 市長は、計画を策定又は変更するにあたっては、市民及び事業者等の意見を反映することができるよう、適切な措置を講じなければならない。

3 市長は、計画を策定又は変更したときは、これを速やかに公表しなければならない。

4 市長は、社会情勢の変化に対応するため、必要に応じて計画の見直しを図るものとする。

(男女共同参画の推進状況等の公表)

第13条 市長は、毎年度、男女共同参画の推進状況及び男女共同参画の推進に関する施策の実施状況について公表するものとする。

(調査研究)

第14条 市は、男女共同参画の推進に関する施策の策定及び実施のため、必要な情報を収集し、調査研究を行うものとする。

2 市長は、必要があると認める場合は、市民及び事業者等に対し男女共同参画の状況に関する調査について協力を求めることができる。

(市民等の活動に対する支援、広報活動等)

第15条 市は、男女共同参画の推進活動を行う市民及び事業者等に対し、情報の提供その他必要な支援を行うとともに、広報活動など適切な措置を講ずるものとする。

(委員会等構成員における男女の均等)

第16条 市は、委員会等における委員を委嘱し、又は任命する場合にあっては、積極的改善措置を講ずることにより、できる限り男女の均等を図るものとする。

(施策策定にあたっての配慮)

第17条 市は、施策を策定し、実施するにあたっては、男女共同参画の推進に配慮しなければならない。

(苦情の申出への対応)

第18条 市は、相談窓口を設置し、性別による差別的取扱いその他の男女共同参画の推進を阻害する要因による人権の侵害について市民等からの苦情の申出、相談があった場合は、適切な措置を講ずるものとする。

(施策の推進体制の整備)

第19条 市は、市民、事業者、自治組織等の協力のもとに男女共同参画の推進に関する施策を推進するため、必要な体制の整備に努めるものとする。

第3章 男女共同参画推進委員会

(設置及び所掌事項)

第20条 男女共同参画を推進するため、大月市男女共同参画推進委員会(以下「委員会」という。)を置くものとする。

2 委員会は、男女共同参画を推進するとともに、進捗状況を点検、評価し、必要に応じ、男女共同参画の推進に関する施策及び重要事項を調査、審議し、市長に提言することができる。

3 前各項に定めるもののほか、委員会に関し必要な事項は、別に定める。

第4章 雑則

(委任)

第21条 この条例に定めるもののほか、必要な事項は、市長が別に定める。

(施行期日)

1 この条例は、公布の日から施行する。

(経過措置)

2 平成16年3月に策定された「大月市男女共同参画プラン」を第12条第1項に規定する基本計画とする。

大月市男女共同参画社会推進条例

平成17年3月28日 条例第2号

(平成17年3月28日施行)