○大月市議会基本条例

平成30年6月22日

条例第21号

目次

前文

第1章 総則(第1条・第2条)

第2章 議会及び議員の活動原則と政治倫理(第3条―第5条)

第3章 市民と議会の関係(第6条―第10条)

第4章 議会と市長等との関係(第11条―第14条)

第5章 議会機能の強化について(第15条―第21条)

第6章 議会事務局(第22条)

第7章 最高規範性及び見直し手続(第23条・第24条)

附則

地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律(平成11年法律第87号)の施行により、地方議会の権限が及ばない政府の事務であった機関委任事務が廃止され、地方自治体の全ての事務に対して議会の審議権、議決権、調査権、検査権が及ぶなど、その権限が強化された結果、議会の役割や責任も大きくなった。

二元代表制の一翼を担う合議制の機関としての議会は、独任制の首長と相互の抑制及び均衡を図りながら、自治体の自立に対応できるよう自らを改革していくことが求められている。

このような中で議会は、市民が積極的に参加したくなるような信頼ある開かれた議会づくりを推進し、市民との活発な意見交換を図り、そこで得られた意見を大切に、議員同士の自由かっ達な議論の中から、論点や課題を明らかにし、意見を集約していかなくてはならない。

そして、「市民生活の向上」という価値観をもとに、執行を監視し、より適切に政策を決定するとともに、政策立案や政策提言を積極的に行っていかなければならないのである。

大月市議会はこのような認識のもと努力を重ね市民の多様な意見を反映しうる議会をつくり、市民の負託に応えるべく「安心で快適な活力ある地域の創造」を目指し、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、議会運営及び議員と議会の活動原則に関する基本的事項を定め、議員の資質及び議会の機能を高めることにより、市民の負託に的確に応え、住民全体の福祉向上と地域社会の活力ある発展に寄与することを目的とする。

(議会の基本理念)

第2条 議会は、市民の代表としての負託と信頼に応え、大局的な視点から意思決定し、真の地方自治の実現に取り組むものとする。

2 議会は、市長その他の執行機関(以下「市長等」という。)の行う市政運営に関する監視、調査、政策形成及び提言機能を併せ持つ機関としての責任を果たすものとする。

3 議会は、予算及び決算をはじめとする市政に係る様々な事項に対し、議事機関としての責任を果たすものとする。

4 議会は、広く市民の意思を把握し、市政に的確に反映させることを目的に、議会及び議員の力量を高め、議会機能の強化並びに活性化に取り組むものとする。

第2章 議会及び議員の活動原則と政治倫理

(議会の活動原則)

第3条 議会は、市民の代表機関であることを常に自覚し、公正性、透明性及び信頼性を重んじた議会運営のもとに、次の活動を行うものとする。

(1) 市政の意思決定を担う議事機関として、議員の合議により議案等の審議及び審査を行うこと。

(2) 市民の意思が的確に反映され、公正で民主的に市政が運営されているかを監視し、けん制すること。

(3) 議員相互間の自由かっ達な討議を通して意見を集約し、議会を運営すること。

(4) 市民の関心と参画意欲を高めるよう、分かりやすい言葉、表現を用いること。

(議員の活動原則)

第4条 議長及び議員は、次に掲げる活動を行うものとする。

(1) 議長は、議会を代表し、公正で民主的かつ公平な立場において職務を行い、効率的な議会運営を行うこと。

(2) 議員は、市政の課題全般について、市民の意思を的確に把握するとともに、自らの能力を高める不断の研さんにより、市民の代表としてふさわしい活動をすること。

(3) 議員は、議会の構成員として公正かつ誠実に職務を遂行し、安心で快適な活力ある地域の創造を目指して活動すること。

(政治倫理)

第5条 議員は、市民全体の代表者として高い倫理的義務が課せられていることを常に自覚し、大月市議会議員政治倫理条例(平成25年大月市条例第35号)に基づき、自らの行動に対し責任と誇りを持って行動しなければならない。

第3章 市民と議会の関係

(公開の原則)

第6条 議会は、本会議のほか、常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会(以下「委員会」という。)を原則公開するとともに、市民への傍聴を促進する取組を進めるものとする。

(情報共有)

第7条 議会は、市政に係る論点、争点の情報を、議会独自の視点から市民に対して周知するものとする。

2 議会は、議会活動に関して市民に対し多様な広報手段を活用して情報を発信し、市民等と情報の共有に努めるものとする。

(公聴会制度及び参考人制度の活用)

第8条 議会は、委員会の運営に当たり、公聴会制度や参考人制度を十分に活用し、市民の意向及び学識経験者等の専門的かつ政策的識見等を議会の意思決定に反映するよう努めるものとする。

(請願及び陳情)

第9条 議会は、請願及び陳情を市民による政策提案と位置づけるとともに、その審議においては、これら提案者の意見を聴く機会を設けることができる。

(意見交換会)

第10条 議会は、住民との意見交換会を実施する。

2 意見交換会については、議会が別に定める。

第4章 議会と市長等との関係

(市長等との関係)

第11条 議会と市長等は、それぞれの機関の特性を活かし、緊張関係を維持する。

2 議会は、事務執行の監視及び評価を実施する。

3 議員は、二元代表制の充実と住民自治の観点から、市長等が設置する法定以外の諮問機関及び審議会等の委員に就任しないものとする。ただし、政策的に議会が参画する必要があると議長が判断するものについては、この限りでない。

4 本会議及び委員会における議員と市長等との質疑応答は、広く市政上の論点、争点を明確にし、議論を深めるため、議員の質問に対し答弁をする者は、その意図を確認する目的で反問権を行使することができる。

5 反問権の行使については、議会が別に定める。

(政策等の形成過程の説明)

第12条 議会は、市長等が提案する重要な政策等について、その水準を高めるため、次に掲げる事項の説明を行うよう求めるものとする。

(1) 政策等の背景

(2) 提案に至るまでの経緯

(3) 政策等の実施によって見込まれる成果

(4) 検討した他の政策案等の内容

(5) 他の自治体の類似する政策との比較検討

(6) 大月市総合計画における根拠又は位置づけ

(7) 関係ある法令及び条例等との整合性

(8) 政策等の実施に関わる財源措置

(9) 将来にわたる政策等のコスト計算

2 議会は、前項の政策等の提案を審議するに当たっては、政策等の適否を判断する観点から、立案、決定、執行における論点、争点を明確にし、執行後を想定した審議を行うものとする。

(予算、決算及び新たな事業の政策説明資料の作成)

第13条 市長は、予算、決算及び新たな事業の計画を議会に提出し、議会の審議に付すに当たっては、前条の規定に準じて、分かりやすい施策別又は事業別の政策説明資料を作成するよう努めるものとする。

(議決事項の拡大)

第14条 議会は、議決責任という役割を果たす観点に立ち、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第96条第2項の規定による議決事件について、次のように定める。

(1) 大月市総合計画に係る基本構想及び基本計画

(2) 大月市都市計画マスタープラン

第5章 議会機能の強化について

(政策立案、政策提案及び政策提言)

第15条 議会は、市の政策水準の向上を図るため、政策立案機能の強化に努め、もって条例の提案、議案の修正、決議等の政策提案を行うとともに、市長等に対し、政策提言を行うものとする。

(議員、議会による研修及び調査研究)

第16条 議員は、政策提言及び政策立案能力の向上のため、研修及び調査研究に努めるものとする。

2 議会は、研修の充実強化に当たり、広く各分野の専門家、市民等との研修会を開催するものとする。

(議員間討議)

第17条 議員は、効率的な合議を推進するために多様な論点について意見の相違を認め合い、他の意見に対しても真摯に耳を傾けると同時に自らの意見を丁寧に述べ、議員間での討議を尽くすものとする。

2 議員間での討議については、議会が別に定める。

(政策討論会)

第18条 議会は、市政の諸課題に柔軟に対処するため、議員が自由に情報及び意見を交換する政策討論会を開催することができる。

2 政策討論会について、議会が別に定める。

(災害時の対応)

第19条 議会は、大規模災害が発生した場合は、大月市災害対策本部条例(昭和37年大月市条例第42号)に基づく大月市災害対策本部の支援をするために、自らが迅速かつ適切な対応により情報を収集し、必要な要請を行うものとする。

2 大規模災害が発生した場合の対応については、議会が別に定める。

(議会図書室)

第20条 議会は、議員の調査研究に資するため、議会図書室の充実に努めるものとする。

(議長及び副議長志願者の所信表明)

第21条 議会は、議長及び副議長の選出に当たっては、議場で所信を表明する機会を設けることができる。

2 所信を表明する機会については、議会が別に定める。

第6章 議会事務局

(議会事務局の充実強化)

第22条 議会事務局の任命権者である議長は、議会の政策立案、監視、調査等の機能を補助させ、議会の事務を円滑かつ効率的に行うため、議会事務局の体制を整え、機能の充実及び強化を図るものとする。

2 前項の目的を達するため、議会事務局は、大学等研究機関又は専門的識見等を有する者の積極的な活用を図ることができるものとする。

第7章 最高規範性及び見直し手続

(最高規範性)

第23条 この条例は、議会に関する基本的事項を定める条例であり、議会における最高規範とする。

2 議会は、議会に関する他の条例等を制定し、又は改廃する場合においては、この条例に反してはならない。

(見直し手続)

第24条 議会は、一般選挙を経た任期開始後、できるだけ速やかに、この条例の目的が達成されているかどうかを議会運営委員会において検討するものとする。

2 議会は、前項による検討の結果、議会制度の改善が必要な場合は、この条例の改正を含めて適切な措置を講じるものとする。

3 議会は、この条例を改正する場合には、改正の理由及び背景を本会議において詳しく説明しなければならない。

この条例は、公布の日から施行する。

大月市議会基本条例

平成30年6月22日 条例第21号

(平成30年6月22日施行)

体系情報
第2類 議会・選挙及び監査委員/
沿革情報
平成30年6月22日 条例第21号