第19回秀麗富嶽十二景写真コンテスト
産業観光課 観光担当


最優秀賞作品
作品名 「染まる雪稜」
撮影場所 ハマイバ
撮影者 内藤 均

写真から読み込んでいますので作者の表現とは異なる場合があります。

賞名 氏名 山頂名 題名 住所 講評
最優秀賞 内藤 均 ハマイバ 染まる雪稜 山梨県南アルプス市  破魔射場に降った新雪の山稜を前景に左奥に富士山を配した構成はバランスよく、前後の形もよい。まこと最優秀賞にふさわしい出来栄えであり、色彩の調子も良い。ただ惜しむらくは手前(下部)の雪面が写り込んでいるのが蛇足といえ、これを省いての構成であったら更にすばらしいものとなった。望むらくはあと数十秒経過してのシャッターなら、富士山の光が強まり、より山体が浮き出したと考える。
  
推薦 橋 英子 牛奥ノ
雁ヶ腹摺山
湧雲迫りて 東京都大田区  9月でもあり、新雪の山姿は望むべくもなかったが、沈んだ富士山の山体に輝かしい雲海が実に美しい対照を成している。ことに中央・富士山の手前の雲塊の形は実に美しく、空部の澄みもまた秋の大気を感じさせて清々しい。仲々撮り難いこの撮影地からの秀作として、いままでに無い、富嶽十二景にふさわしい格調の好作といえよう。
 
推薦 村上 敏幸 御前山 朝霧に咲く 山梨県大月市 ガス巻く中景の感じが、手前のコメツツジ?の花を際立てて遠景の富士山と対している。柔らかい調子がいかにも低山的な感じを生ぜしめて、撮影者の富士山を愛する心情をみごとに描写していると思う。こうした場合、富士に少しガスがかかっていても気にならない。しかし、手前の花のピントには注意。
特選 山下 政明 雁ヶ腹摺山 雲表に座す 神奈川県秦野市  堂々たる山姿であり、豪快なバランスで思い切りよく切り取っている。上部の感じはよいが、中間部の黒い空きと真ん中の白雲、平坦な山背が少し気になる。それと全体の色調がマゼンタ(赤)かぶりしているのは注意点。これは引き伸し時のカブリである。本来はもっとすっきりした感じであったろう。
特選 大戸 康世 百蔵山 秋盛り 山梨県大月市  あざやかな紅葉が、枝もたわわに垂れ下がり、その間隙に新雪の富士山がのぞく。色彩の対照の妙、鮮烈な感じが際立っている。やや右上の枝が重く、紅葉も少し多すぎで秋の爽やかさが減じている。紅葉がもう少し少ないと秋らしくすっきりとしたことと思う。だが、久しぶりに盛りの秋といった作品である。調子を少し弱目にすれば、強烈な感じが薄れて爽やかになろう。
特選 伊藤 恵子 百蔵山 山並みの彼方に 東京都大田区  下部の樹影、中間部の薄雲、鮮やかな遠景の富士山。三者がみごとに調和してバランスもぴったりと合っている。だが、これで下部の樹影が欠けると中間部の弱さが富士の強さに負けてしまう。そうなると横位置にしても救えない。何の変哲もないように思える、この小さな黒い樹影、この場、最も重要な位置を占めて役目を受け持っている。富士の朝焼けも色薄いが、これもバランスのひとつを受け持っている。
入選 村上 敏幸 雁ヶ腹摺山 晩秋の朝 山梨県大月市  全体に赤カブリがあり、一見朝焼け時の撮影に思えるが、手前の色調と富士山の山腹の浅さが不自然であり、富士山の雪の白調子を失ってしまった。これは暗黒部の強調しすぎた反動であり、不自然さがぬぐえない。せっかくの好作も一瞬のミスが致命傷となる。DPは調子にくれぐれも注意をうながしたい。構図的には下部がやや多いことが気になるが、上部の切り方は良い。
入選 奈木 正次 姥子山 秋望 山梨県大月市  富士山左下部の送電塔がちょっと気になるが、これは致し方ないと思う。十重二十重に重なる山ひだの紅葉が実に美しい。これで富士山に新雪があったら、と惜しまれるが、これは期待するのが無理であろう。いずれにしてもこの奥地からの眺望はこれ一点のみの応募であり貴重な作品である。次回は送電塔を除いての構成と手前の尾根の影の処理を心がけて欲しい。
入選 小谷 哲朗 牛奥ノ雁ヶ腹摺山 波濤の如き雲の上に 三重県松阪市  推薦の橋英子氏の作品と似ているが、雲の調子が少々弱く、雲の形もおとなしい。全体のバランスとしては美しく気品があるが、少し調和を乱した方が感じが強くなることも撮影時に考える必要がある。もう少し四方を切って(ことに左方と下部)、全体を大きく、画面内に捉えるとグッと強くなる。
入選 池田 浩樹 小金沢山 秋晴れ 山梨県大月市  ススキに紅葉、青い富士山。秋の色彩を前景に、こよなく晴れた大気の青を吸った富士山との色彩の対比があざやかである。しかし、富士山の青が少々強すぎて秋の感じが薄れてしまっている。紅葉とススキの小道具はあっても、全体の調和が失われてしまった。あまりも晴れすぎた故の気象のいたずらといえよう。次回は注意のこと。
入選 大戸 康世 大蔵高丸 厳冬の朝 山梨県大月市  新雪が積もった叢林を雪が覆っている光景であるが、あまり雪がびっしりついているので凹凸が目立たなくなった。もう少し近づいて雪の頂点やや左を切り、右は富士山の稜線の半分、上部をそのままで、下部も雪の半分をカットすればグンと強い構図となる。いわゆる無駄な部分をカットして主題を強調する手法をとりたい。
入選 井上 儀宏 ハマイバ丸 雲のジュータン 東京都町田市  題名の付け方が適切でない。この作品のテーマは富士山であり、紅葉である。稀に紅葉はもっとも大きな面積を占めていて一番目立つ。雲などはまことに小さな存在でしか無い。ここでは左方の枝を切り、下部も半分切って富士山を引っぱり出し、右方の影も半分切って紅葉を強調する。まったくちがった作品となるが、それによってすぐれた作品となる。
入選 奈木 正次 滝子山 雪肌光る 山梨県大月市  題名に拘わりすぎたか、それとも左方の雲を切れなかったか、そのため双方が不十分な説明となった。この場合、左方の雲の形に捨てがたいものがあり、「雲踊る雪肌」のようなテーマが生きる。山頂の右方が下がっているのを直せば、雲はさらに立ち上がる。ここでは山頂の高さを気にせず、雲を気にすべきだと思う。山肌はさほど大きく光っていないからである。
入選 愛澤 和弘 笹子雁ヶ腹摺山 枝木に咲く 埼玉県所沢市  題名から見ると、枝木という名称は適切でない。「雪玉の彼方に」という形容の方が感じが出ると思う。こうした場合、雪玉から富士山を外さず、富士山に雪玉の付いた枝をかぶせて、その間から富士山をのぞかせるような手法の方が効果的と考える。雪玉から外れた山肌の雪の白さを富士山の白さを阻害しているのもいけない。
入選 小池 満雄 奈良倉山 春雪のかなたに 静岡県沼津市  縦位置に構図をとると確かに富士山の高度感が増して見える。しかし、その分、この山からでは下部が多すぎて富士と比較すると富士山の方が小さくなる。光の当たった山肌が適当に存在するのを利用して、ここでは横位置の方が適当であり、バランスもよくなったと思う。
入選 津 秀俊 扇山 黎明の刻 山梨県大月市  これまた美しい富士山であるが、惜しむらくは富士山が小さく表現されているため、前作より迫力に欠けたのは致し方ない。だが、調子は美しく、殊に富士の麓の靄の感じは絶品といえる。これをもっと大きくフレーミングすると迫力は申し分ないものとなったろう。惜しい作品であった。
入選 村上 敏幸 百蔵山 薄紅に明ける 山梨県大月市  光の扱い方がよく、下部のデティールが消えて、富士山が実際より高く幽玄に見える。端正な富士山であり、光の調子も良い。こうした場合「薄紅(ベに)」という形容はあまり良くない。薄い、という形容は濃いという形容より弱い印象をあたえることが多いので、あまり使用せず、何か他の形容詞(例えば くれない)に変えた方が望ましい。
入選 加藤 公男 岩殿山 春爛漫 山梨県大月市  題名通り受け取ると、「爛漫・・・」という感じとは遠くなる。こうした場合、「満開に対す」とか、「花富士」というような簡単なものの方が適切に思える。前者であるなら、もっと一面に濃く咲いていなければならない。また、まだ朝の色づきが富士山に残っているためか、富士山の雪が赤いのも損をしている。富士山の雪は、日中には純白であるべきで、題名もそれにともなって変える。
入選 小谷 加代子 お伊勢山 暁の富士高し 三重県松阪市  壮大な感じの表現である。富士山の大きさと下部の黒部との比率がまことによくマッチしているため、富士が大きく表現されたといってよい。露出値も適正で、色彩再現もみごとである。高度感もあるのは上部山頂の切り方、すなわち上部の空の少なさによるが、これ以上せまくすると逆効果となるので注意。
入選 愛澤 和弘 高畑山 変化する怪雲 埼玉県所沢市  「変化する・・・」は蛇足であった。ここはただ「怪雲」だけで充分であろう。ことに雲に色付きのあったことがより効果的である。山体の大きさも適切であるが、山頂付近の登山道がハッキリしすぎて、この点のみ残念に思える。作者は近来、自分の表現のコツを会得したかに見え、急激に浮上してきた。波に乗る、ということであり、この調子でがんばって頂きたい。
入選 松本 邦弘 倉岳山 冬晴れの朝 埼玉県入間市  樹木が繁茂して撮り難い山頂にめげずに通い、作品をものにされる執念に感服の他ない。今回は樹枝の繁茂を逆手にとり、下方から狙って、上方に冬枯れの枝先を配した表現で撮影地のマイナス点を逆に利用した。まだ暗い冬の空の暗さと、とこにひろがる枝先によって富士の色づきを強調、みごとな返し技といえる。
入選 権正 光夫 九鬼山 月明かり 山梨県富士吉田市  これまた撮り難い山、山頂からでなく、少し北にのびた尾根からの撮影であろうと思うが、少々露光オーバーの点が気になる。眼下にひろがりのびる都留の集落・市街を前景に、富士山を月明りで青く浮かび上らせた技術は中々のものと推賞する。このような工夫することによって撮影の難所も次々と陥落して行く。
入選 津 秀俊 御前山 秋色 山梨県大月市  みごとな秋色である。色づいた尾根の斜線上に富士山が鎮座する。左方にたな引く雲も美しく、中々に出会うチャンスではない。ただひとつ、気になる点は左方に盛り上がる山頂、多分九鬼山と思われるが、この黒い山頂と左下方の影となったところが重く、画面を重苦しくしてしまっている。左方の黒い山のコルから左方を切り捨てるとまったく違う作品となる。
入選 纐纈 浩恭 高川山 雲ゆきて富士高し 岐阜県多治見市  勇壮な富士山である。この作品は下方を切って横位置という手もあるが、やはり縦位置の方が富士が高くぬきん出る感じが強く出る。欲をいえば雲の形がハッキリしないので弱いが、この雲がもっと形がハッキリすれば勇壮が豪壮の字と変化する。そうした形もぜひ狙って頂きたい。
入選 谷口 一只 本社ヶ丸 紅雲の朝 埼玉県加須市  この題では、平凡でインパクトに欠ける。こうした場合は「紅雲上空に在りて」というふうに少しひねった方が効果が出る。紅雲も少々ハッキリした輪郭がないので印象弱いところが残念である。雲と空との境が画然と分かれるようなチャンスに、ぜひ試みて頂きたい。
入選 山下 政明 清八山 烈風に明けゆく 神奈川県秦野市  烈風というには雪煙の吹き流れが少し物足りない。本来の烈風は富士山の山肌を水平に走るものだが、そうしたチャンスにぶつからねば難しい。そこで一法として、富士山頂の雪煙のところのみ、大きく切り取る(トリミングする)ことによって、雪煙が吹き流れるさまが強く表現される。ただし、富士山をどのように切るかが問題となる。

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